2011年4月9日土曜日

どんなに低レベルでも“安全”な被曝などない(アルジャジーラ記事和訳)

'No safe levels' of radiation in Japan 
 Experts warn that any detectable level of radiation is "too much".
Dahr Jamail Last Modified: 04 Apr 2011 15:46


徐々に深刻になっていく核危機の中で、日本の原子力安全本部は、最近の津波でひどく損傷した福島第1原子力発電所の建物近くから採取した海水サンプル中の放射性ヨウ素は、法律で許可されたレベルの4,385倍だったことを明らかにした。

原発付近の空気中の放射能は、政府規定の限界値の4倍と測定された。

損傷した原発の操業者の東京電力は、放射能漏れのソースを突き止める作業をする一方、核燃料棒を冷却するのに使用した11,000トン以上の放射能で汚染された水を海に捨て始めた。海に捨てられたこの水は、法で認める放射能限界値の約100倍である。

一方、おびただしい放射能汚染水が、原発の6フィートの深さのピットの大きな裂け目から海に流れ込んでいる。週末にかけて原発の作業員らは、この区域の裂け目を塞ぐための絶望的な試みとして、おがくず・細切りの新聞紙、そしておむつ用の物質を使ったが失敗した。ピットから漏れ出ている汚染水は、通常の原発からの排水の約10,000倍の放射能を帯びている。

第2原子炉の核のメルトダウンからの放射能は、海水と土壌に漏れ出し、他の原子炉は相変わらず問題を帯びている。

科学者や活動家は、日本の政府と原子力産業が「安全」と定める放射能被曝の限界値に疑問を抱いている。

「どんなに低レベルでも健康に被害を与えない放射能はないと、アメリカのエネルギー省が証言した」と、the Western States Legal FoundationJacqueline Cabassoの長官はアルジャジーラに語った。

彼女の団体は、アメリカの核兵器プログラムと政策を監視・分析し、そして国家の核兵器研究所のハイテクエネルギーに関係している。

Cabassoは、放射能は自然界に存在するが、「2,000回の核実験が自然界の放射能レベルを上昇させた。これらの核実験のために、既に我々は人工的に放射能を帯びた環境下で暮らしているのだ」と説明した。

「マンハッタン計画に参加していたKarl Morganは、後に低レベルのイオン化放射能の危険性を知ってからは、原子力産業に反対するようになった。そして彼は、どんな低レベルの放射能被曝でも安全なものなどない、と述べた」「これは、原発作業員または一般市民が耐えられる1年間の被曝量などを語ることは、インチキであるということを意味するのだ。放射能被曝に安全なレベルなどない。“安全レベル”と呼ばれているものは、原発推進関係者から出たものなのだ」と、Cabassoは続けて述べた。


低レベル被曝の危険
Karl Morganは、放射性衛生物理学の開拓者でアメリカ人物理学者だった。長くマンハッタン計画に関わり、Oak Ridge国立研究所に務めた後、彼は原子力と核兵器の反対者となった。1999年に亡くなったMorganは、原発産業によって健康被害を受けた人々のために、度々法廷で証言を行った。

米国科学アカデミー(NAS)は、2006年に“イオン化放射能の生物学上の影響報告(BEIR)”というタイトルの研究を発表した。この委員会は「多くの情報が、低レベルの被曝でも、いくぶんかの放射能被害はあると示している」と結論づけた。

これは、ごく少量の放射能被曝でも放射能は蓄積されるため、大量の1回の被曝と同じ影響があるということを意味する。

数週間の間、東電の作業員は、原発の電源を回復する作業と、メルトダウンの危機にある放射性核燃料棒に放水作業を行っている。

それにもかかわらず、日本政府職員は3月31日に、福島第1原発の損傷した4基の原子炉を守るための戦いに敗北していることを認めた。今回日本に力を貸している、この原発の原子炉設置に関わったアメリカのある技術者は3月29日に、第2原子炉の放射性の核は、その格納容器の底を溶かしてコンクリートフロアに漏れ出している可能性が大いにあると述べた。

東電の会長勝股ツネヒサは、第1から第4原子炉を廃棄する以外に選択肢はないと述べた。だが、この核災害が数カ月続くものだと認めているにもかかわらず、彼は残りの2基は操業を続けるという希望を抱いている。少なくとも、福島原子力発電所の一部を閉めることをこの会社が認めたのは、これが初めてである。

だが、政府のチーフスポークスマンの枝野ユキオは、以前から述べている40年前に作られた6基の原子炉全ての廃棄を、繰り返し述べた。

冷態停止の後ですら、原発の完全な廃止には10年を要し、この土地は不毛の土地となるだろう。

大量の核廃棄物が原子炉に存在し、そして、鉛の注入によって原子炉を封印してコンクリートで囲い込むことで、原発から数キロメートル離れた場所での作業と生活は安全になるだろう。しかしこれは、腐食して核分裂物質を数万年吐きだし続ける使用済核燃料の廃棄の解決にはならない。

この原発付近では、放射能レベルが1時間あたり400ミリシーベルトと危険なまでに上昇した。1年間に約1ミリシーベルトが限界という環境放射能を考慮すると、福島原発付近の放射能は、原発産業と政府が定める“放射能被曝限度”を元に考えると、9秒ごとに1年分の限界放射能に晒されることを意味する。

これを、アメリカの国家“安全基準”である1年間に250ミリシーベルトと比較する。1回1,000ミリシーベルトの被曝は内出血を引き起こすのに十分であると、米国環境保護庁は述べる。

日本の168以上の市民団体が3月28日に、福島原子力発電所付近の避難区域の拡大を求める嘆願書を日本政府に提出した。またこれらの団体は、市民の健康と安全を守るための緊急措置を政府に求めている。

日本の原子力危機が3週目に突入し、福島第1原発付近の避難区域の住民は、数ヶ月間は自宅に戻ることはできないと警告を受けた。

福島原発付近の地域は長期的に閉ざされたままだろうと、日本の官房長官枝野ユキオは4月1日に述べた。

タイムテーブルは示してはいないが、住民を完全に自宅へ戻すことは不可能であり“数日または数週間、あるいはもっと長期になるだろう”と彼は述べた。

政府指定の避難区域は、たった20キロメートルで、政府は30キロメートル以内の人々には自主避難を促している。

イイタテの村のセシウム137のレベルは、ソ連がチェルノブイリ事故で付近の住民を避難させた値の2倍である。イイタテ村は、福島原発の40キロメートル北に位置する。

米国原子力規制委員会は日本在住のアメリカ市民に、福島原発から80キロメートル外への避難を推奨した。


チェルノブイリとしての福島
チェルノブイリ原子力発電所の事故から今月で25年になる。

「未だに立ち入り禁止区域があり、住民が町を捨てて久しい。そして、現在の日本での避難民のように、ここにもチェルノブイリからの放射能避難民がいる」「テプコは保身に努め、そして日本政府は、このことについてはっきり言わないのだ。日本の人々は、放射能が重大な問題だということを理解していないのではないかと私は思う」と、20年間核問題に取り組んでいる軍縮教育者で活動家のKathleen Sullivan博士はアルジャジーラに語った

「原子の分裂は、人間の思考力を保存する全てのものを変化させる。これゆえに私たちは、未曾有の大惨事へ向かって流されて行くのである」という、アルベルト・アインシュタインの言葉を引用してSullivan博士は述べた。

「放射能がもたらす無限の問題の正体が目に見えないために、私たちは放射能に関する間違いを理解できないのだ」と、国連の軍縮問題の教育顧問であるSullivan氏は述べた。

冷却の欠如のために福島原発の使用済燃料棒が燃え出せば、放射性物質の雲が死をもたらす毒を、続けて数ヶ月間地球中にまき散らすという、悪夢のシナリオを警告する専門家もいる。

「日本の福島の損傷した原発は、1986年のチェルノブイリ原発事故後に測定された放射性ヨウ素とセシウムのレベルに近い値を放出している。オーストリアの研究者らは、秘密の核実験を突き止めるために開発された世界規模の放射能測定ネットワークを使用した。それによると、1986年のチェルノブイリの大惨事後に計測された放射能レベルの73パーセント/日のヨウ素131が福島原発から放出され、セシウム137の日々の総放出量は、チェルノブイリ原発事故で放出された総量の約60%である」と、ウィーンにある気象学と地殻変動学の本部研究所は、3月24日にニューサイエンティスト誌に語った。

同科学者グループは、「福島原発には1760トンの未使用および使用済の核燃料がある。だが、チェルノブイリの原子炉の場合は、たった180トンだった」と述べた。

ニューヨーク科学学士院の報告によると、チェルノブイリ原発事故により、1986-2004年の間に主にガンが原因で985,000人が死亡したという。

福島原発からの放射性粒子が、太平洋を跨いで北アメリカ、大西洋、そしてヨーロッパにまで拡散したことを観察者らは発見した。

ノルウェーの大気調査研究所のAndrea Stahl上級科学者は、「福島原発からの放射性粒子が、北半球全体に拡散するのは数日の問題だ」とロイター通信に述べた。

福島原発周辺に暮らす地球上の数万もの人々が、避難するか屋内退避を警告される一方、放射性物質は海洋に土壌に漏れ出しているのである。

先週はまた、米国のペンシルバニアのスリーマイルアイランドのメルトダウン原子力事故から32年目であった。


放射能の250,000年間
永続する放射性物質と発がん物質について考えるときには、生命構造の遺伝的な突然変異を含めて、世代間の影響があるとSullivanは説明した。

この影響は、恒久的であって取り返しがつかないのだと彼女は付け加えた。

Sullivanは、福島原発の3号基を例に出す。なぜならそれはMOX燃料ウラニウムとプルトニウムを使用する原発だからだ。プルトニウムの半減期は24,000年であり、これは最大250,000年間または12,000世代に渡ってプルトニウムが、発がん性物質であり突然変異誘発性物質であることを示すのである。

放射性半減期は、この福島原発3号基の場合、24,000年間でイオン化放射能の半分が衰え、そしてもう24,000 年間で残りの放射能が消えることを意味する。

 「現在の知識では、これはまったく理解できないし説明できないことなのだ」「私たちは、現在の私たちが何をしているのかということの判断を開始するのでさえ、自分たちの道徳的な想像力を12,000世代に当てはめてて考えなければならないのだ」と、Sullivanは述べた。



読後の感想:
信用できる……と言うか、少しでもましな情報を入手するために、東電と利害関係が無い(と思う)海外マスコミ発の記事を読むわけだけど、何というかもう、正直うんざりする。どうしてこうも国内と国外の情報が違うのか。アルジャジーラはブッシュJr.のイラク戦争の頃から読んでいるニュースサイトで、ソコソコ信用している(まぁ、スポンサーのカタール王家にとってアレなニュースの信用性はどうだかイマイチわからないけれど)。で、そのアルジャジーラの記事で「どんな低レベル被曝でも“安全”などとは言えない」なんて言われたら、鵜呑みにするわけではないけれど、気にならないわけがない。
私は毎日食べても飽きないくらいスキヤキ好きで、特に白菜が大好き。昨日もスキヤキに白菜を大量に投入。白菜といったら茨城らしいけれど、気にせず食べていた。でも、この記事読んだ今は……申し訳ないけれど小心者の私は、今後白黒ハッキリするまでは原発周辺産地の生産物や水産物は避けさせてもらう。第一、「風評被害、風評被害」って言うけれど、本当に風評被害なの? だって、「検査結果で放射能汚染が規定値以上だったモノだけ避ければ、残りのモノは全て安全」というのが信じられないから。
その代わり、間接的に応援……と言うにはおこがましいけれど、お花見は予定通り決行するし飲み会もして、些少でも景気に貢献しようと思う。それにしても気になるのは、放射能漏れのせいで、今後日本が被害者から加害者と見なされようになるかも、ということ。少なくとも、英字メディア圏では既にそんな空気を感じる。サイバーパンク系の話なんかでは、悪の巨大企業が世界を支配していたりするけれど、一企業(とその利害関係者たち)のせいで一国の信用や経済が破たんって……フクションじゃないんだから勘弁してほしい。